100万円の軍資金で、「日経平均先物ミニ」を9か月間運用してみた体験談、第2話「復活編」です。第1話はこちら。

日経平均先物を初めて扱う時の注意点を、体験談形式で確認する記事です。

日経平均先物は証拠金取引であるため、FXと同じ性質を持ちます。損失の急拡大や、差し入れた証拠金以上の損失が出ることもあります。以下の記事は、特定の投資手法を推奨するものでは決してありません。

先に今回の結論。あくまでも私の感想ですが。
① 実際に取引してみると、含み損の急拡大が思ったよりも精神的な焦りを生む。
② その焦りから、当初の予定がどんどん狂って余計なポジションを持ってしまい、引き返せなくなる。
③ 結論として、100万円の資金では手を出すべきではない。
以上の結論になった理由を説明します。よろしくお願いします。

2019年10月2日にポジションを全決済し、検証は終了しました。
日経平均先物ミニ、取引開始!
前回のあらすじ
所持している株の下落が心配なので、日経平均先物の売りで下落リスクをカバーしようとしますが、先物取引には「限月」があるため、一定期間ごとにポジションを決済しなければいけないことが発覚!
限月による決済の時にポジションが含み損状態なら、決済によって手持ちの現金が減ってしまいます。現物株の評価損は、我慢してしばらく持っていることで株価が回復することがありますが、先物取引はそうはいきません。そこで・・・

先物売りをこまめに利確しつつ、徐々に未来の限月に乗り換えていけばいい!
・・・という、謎アイディア?を実行します。
取引ルールのおさらい(長い)

前回の説明では、取引ルールがいまいちピンと来なかったんだけど。

ポジションを何本も建てるとか言ってなかった?

少し説明します。
例えば、2019年8月末の日経平均株価はおよそ20700円。9月末の株価は21700円。およそ1000円の値動き。

けっこう動くな・・・!
分かりやすく、その値動きで200円おきに先物の売りポジションを持ったとします。いわゆるナンピンです。その場合の売りポジションと評価損は以下の通り。

うわあ!

証拠金は決済すれば帰ってくるけど、1000円日経平均が上昇すると、含み損は30万円!
持ってる現物株の価値は上がってるから、総資産としては少しはバランスが取れてるハズだけど、このまま限月を迎えると30万円の現金が失われてしまいます。

含み損が増えるのには耐えられるけど、現金が減るのには耐えられない!

そこで、利確できるポジションはこまめに利確することにしました。

?
例えば、下の取引履歴です。極めてうまくいった場合の話なので、絶対に楽観視してはいけませんが、
表の下から読むのですが、1週間で、同じ価格帯、21150円~21350円の間を行ったり来たりしたため、手数料が取られているものの、21350円新規売り・21150円買い決済の、約20000円の利確が3回繰り返されています。

一週間で6万円!
限月が来る前に上記のような細かい利確を繰り返し、かつ、つぎにポジションを建てるときは、3か月ほど未来の限月のポジションを持てば、逃げ切れるのではないか。と思いました。逃げ切れずに決済を迎えてしまうポジションも当然あると思います。その分を差し引いてもプラスになるのかが、今回の検証の目的です。
まとめ
① 限月による評価損を細かい利確で上回ってしまおう
② さらに、徐々に未来の限月の注文にシフトしていこう
③ 大暴落があったら、複数持ってる売りポジション全決済の大チャンス!
・・・という作戦です。

トラリピじゃないか・・・
先物・FXをやらないので、細かな利確がいまいち分からない人へ
現物株式は総平均法で評価額を出している場合が多いから、例えば①20000円・②21000円・③22000円の3か所で100株買った場合、評価額は平均値の21000円で300株所持している計算になります。この場合、20000~21000円の価格帯を株価が何度上下しても利益は出ません。(ポジションの数だけ別々の証券会社を利用すれば再現はできます。)
①②③が別々に評価されれば、20000円~21000円の間を株価が何度も往復すると、①のポジションの利確を何度も繰り返すことができます。

先物はポジションごとに別々に評価が行われるからできるんだね。
みなさんも、いろんな銘柄の株をいろんな時期に買って、利益が出ているものを売る、を繰り返したことがあるかもしれません。
それを、一定価格おきの株価でやろうとしているだけです。
しかし
感情が邪魔をして、なかなかうまくはいかないのです・・・!
戦況報告(評価損100万円!)
評価損100万円、とタイトルで煽っていましたが、最大評価損は947,000円。先物取引は夜間も値動きがあるので、寝てる間にもっと拡大していたかもしれません。

ダメじゃん・・・

第1話で予告した、実際の画像を使って説明します。

だから、何で買いポジ持ってるんだよ!
限月が違うと、同じ日経225ミニでも価格差があって分かりづらいので、上から1段目を見てください。「日経225ミニ03」。これは2020年の3月、記事作成時から5か月後に限月が迫っているものですが、建て玉単価、つまりポジションを持った時の価格が20745円、基準値、つまり現在の価格が21855円。

1000円以上の価格差!
上から3段目、「日経225ミニ06」なら、価格差が1500円以上。ポジション1枚当たりの評価損が15万円に上ります。

うわあ・・・
いくら作戦を建てていても机上の空論。価格差が1000円以上開いたあたりで、異常に焦りました。
2019年9月3日~9月17日まで、日経平均株価は10連騰、1400円近く値上がり。
この連騰で、売りポジションが7枚くらいに積みあがっていたため、つぎに100円日経平均が上昇するだけで、70,000円の評価損が生まれます。

100円の値動きで7万円!?
あした、もっと日経平均が急騰するかもしれない。

1枚しかポジションを持ってなかったときは、100円の値動きでは10000円の評価損です。まだ余裕。想定内。でも、今回は7枚。
日経平均株価は1日で500円動くことも珍しくありません。
あした500円上昇されたら、5万円×7枚=35万円の評価損。
恥ずかしいですが、この額は会社員の私の給料をけっこう超えます。

私の場合は1日あたり、毎月の給料以上の含み損の上下があると耐えられないようです。
そこで、これ以上の損失が怖いから、両建てをしてしまいます。

両建て?

売りポジションと買いポジションを両方持つことだよ。
売りポジションを7枚持ってるから、明日の500円上げが怖い。そこで買いポジションを仮に6枚持ったとすると、売りポジション7枚分の含み損が拡大しても買いポジション6枚分は含み益だから、500円上げでも実質売りポジション1枚分、50000円の評価損で済む。

35万の恐怖が5万の恐怖に軽減されるのか!やろう!

ダメです。
両建ては、「経済合理性がない」というぼんやりとした注意をされるんだけど、初めての人には良くわかりません。
今回の場合、先ほど取引ルールのおさらいの所で書いた、
① 限月による評価損を細かい利確で上回ってしまおう
② さらに、徐々に未来の限月の注文にシフトしていこう
③ 大暴落があったら、複数持ってる売りポジション全決済の大チャンス!
上記の3つのうち、③のチャンスをほとんど失ったことになります。

大暴落があっても買いポジションのせいで利益が出ない!全決済ができない!
「経済合理性がない」とは、今回の場合はこういうことです。とりあえず、明日の損の可能性をなくしただけで、なにも解決していないから。

給料を超えると怖いっていう言葉も、合理性はないね。
自分に合ったトレードのスタイルがいい。という理由はそこだと思います。人によってリスクの許容度は違うから。
たくさんポジションを持つほど、1日の評価損が乱高下するから危険です。今回は一定の価格ごとに売りポジションを増やしたけど、それ以外にも
・なかなか値動きがないからポジションを増やしてみた
・ボーナスが入ったからポジションを増やしてみた
・誰かが発信している勝率の高い手法だから使ってみた
・過去にその方法で成功したから次はポジションを増やしてみた
・退職金が入ったからやってみた。

どれもあり得るよね。そして、どれも根拠が薄い。日経平均の上下には全く関係ないよね。
そんな感じで、両建て取引を含んで、94万円の評価損を出してしまいました。

やばいか・・・?
結果報告(ギリギリセーフ)

すいません、「復活編」って聞いてきたんですけど。

両建てのせいでポジションが意味わかんなくなってます。
はい。両建てのせいで、取引ルールの③にはあんまり期待できません。
① 限月による評価損を細かい利確で上回ってしまおう
② さらに、徐々に未来の限月の注文にシフトしていこう
③ 大暴落があったら、複数持ってる売りポジション全決済の大チャンス!

①・②がどれだけ頑張ってくれるかが、勝負の分かれ目になります・・・!

-947,000円でしょ・・・2万円づつ利確したとしても48回必要・・・

無理かな…
ブログ開設前の証拠画像はありません。申し訳ありません。
2019年1月、検証開始
9月までの含み損は約90万円。以下の金額は、含み損を抱えながらも、小さな利確を繰り返したことによる確定利益です。最終的に、確定利益が含み損を上回っていれば勝利です。
確定利益
1月 +179,770円
2月 +372,680円
3月 -679,558円

何やってんだよ!

怖くて全決済しちゃいました。てへぺろ~。

イラッ・・・

ちっ・・・
4月 +77,860円
5月 +256,442円
6月 +174,762円
8月 +128,844円
9月 +265,188円
10月 +46,344円
ここで大きな値動きが!
夜間に400円以上下がる日経平均先物!

10月2日夜、先物価格が大きく下がり、評価損が-702,500円になったとき、継続する自信がないので撤退!すべてのポジションを決済!
1月から10月2日までの確定利益と評価損を合わせると・・・!

どうなってるかな・・・。わかんないよ・・・

プラスになってる・・・
10月2日の撤退時の評価損-702,500円に対し、細かい利確の積み重ねが+854,098円。

結果は151,598円の利益でした。

おめでとう!100万円からにしては上出来じゃない?

いいえ。
感想・まとめ
結果的に利益がでましたが、
ルールを決めていたにもかかわらず、① 3月の全決済、② 両建て取引、③ 最大評価損の94万円からは逃げ切れなかった可能性があるなど、致命的な欠点があります。
①、②はビビッて動いた自分のせい。③は偶然。
つまり、再現性が無い。

再現性のない方法の一番の危険は、前回うまくいったから、今回は大丈夫だろう、と思って、次に行動するときは投資するお金の額を増やしてしまうこと。私は何度も失敗しています。
今回は100万投資、次は200万投資、つぎは300万・・・と増やしていくと、1日での評価額の大幅なブレの恐怖も大きくなっていくし、負けるときの額も大きくなっていきます。投資額が大きくなってからの失敗は、取り返しがつかない。
現物株式を考えてみましょう。現物株式の配当は、来期も貰える可能性が高い。所持する株を2倍に増やしたら、貰える配当も2倍である可能性が極めて高い。評価損も、配当を貰い続けることで覆すことができます。
私のように少額を投資に回して楽しもうとしている場合、投資額を増やすメリットと、長く続けることによるメリットが、現物株に比べて日経平均先物取引には乏しい。限月から逃げつづける方法を今回は取りましたが、そこは問題ではありませんでした。
あくまでも、私が、100万円で、日経平均先物ミニを、むりやり長期で運用しようとして思い知ったことですが、
① 70000円からはじめられる!は論外。それで済むわけはない。
② 買いでも売りでも利益が出せる!も論外。買いでも売りでも損をだせる。
③ ポジションを増やした時の評価損の上下が怖い。
④ 夜間も取引できる!は、評価損拡大の恐怖が夜も続くことになる。
⑤ 焦りが両建てなどの不要な取引を生む。
⑥ 現物株式と違い、投資額を増やすことによるメリットが精神的にも金銭的にもなく、リスクや恐怖だけが増えていく。
以上の内容を強く感じました。先物取引オススメサイトでは、「投資の最終判断はご自身で」で終わらせてしまう部分だと思います。
つまり、
今回は、100万円をつかって、偶然15万円の利益が出ました。ここで、年間15%の利益!と言うのは、お話にならないと思っています。
未来に右肩上がりのグラフを見ることができるのは、投資法に再現性が高い場合だけだと思います。たとえば、配当目的とした投資、更にそれを使った再投資、それがうまく回るまでは月々の定期的な積み立てでそれを補助する方法です。
配当と、自分が働いた給料からの毎月の積立は、再現性が高めだからです。

経済用語も分からないし、銘柄分析もできませんが、なんとなくうっすらとそんな気がします。

意見がぼんやりしてるな!・・・けど。
長期投資向きではない気がします。行う場合は慎重に!
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
次回予告

・・・は?
ポジションを全て無事決済出来たため、証拠金の資金拘束が解けました。

そこで、はじめての日経平均CFDの両建て取引を経験してみることにしました。

反省ゼロか!

先物・両建てじゃないか!

いやいや、少し気になることがあって、検証してみたいんだ。くりっく株365のCFDを。
・・・店頭CFDではなく、くりっく株365のCFDを。

全然分からない・・・

次回の狙いはココ!両建て証拠金の取り扱いの違い!
クリック株365の説明ページより

このルールのおかげで、今回の反省点・急拡大する評価損と証拠金・再現性の問題を大幅に軽減できるか、確認してみようと思うよ。

なんか気になってきたな・・・
次回「初めての日経平均CFD①」
トラリピ派は大歓喜?爆発する評価損をほぼ無効可?

マニアックすぎてPVが微妙なんじゃ・・・
なぜか服を着ないで外に出る夢を見ることがあるんですが、「私も見たことある!」という方は両方のボタンをポチっとお願いします!「何それ?」と思った方は片方だけでも・・・!
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