こちらの記事は、トラリピ・手動トラリピ特有の「急に膨れ上がる含み損」に徹底的に対抗する記事です。リピートは続けつつ、とにかく資産のガードを重視した方法になっております。
トラリピ中級者向けの記事になりますが、これからトラリピをやってみたい!という方も知っておいたほうが、大切な投資資金の防衛につながると思います。
個人の感想です
気になるところに目次で飛んでください。
トラリピの致命的な欠点
まず、トラリピの致命的な弱点とは何でしょうか。

運用している人が全員ドM

違います
相場の細かい値動きを利益に変えるのがリピート系売買の利点であり楽しさですが、一番の問題点は為替が一方的に動き始めると急激に膨らむ含み損です。
例えば、1000通貨をトラップ幅0.2円・利確0.2円で並べ、15円の相場の逆行に付いていった場合の評価損(概算)を見てみましょう。
相場が逆行するほど激増する含み損。その他ポジションを持つための証拠金も思いのほか多く、維持率を圧迫する。

下のほうは1円逆行するごとの含み損の増え方がエグイ。そこで正常な判断ができるかどうか自信がない。
-15円状態になると、当初の予算100万円に、追加入金をさらに100万円投下したところで維持率は237%までしか回復しません。
さらに、ー15円時点で、損益分岐までに必要なリピート回数は2813回に達します。
バックテストツールによると、過去10年間の最安値から最高値まで、0.2円幅・0.2円利確のトラップを敷いた場合のリピート回数は2673回。
足りません。トラリピのゴールが初期値からー15円だったら、10年リピートを続けていても赤字です。
十分な証拠金を入金し、低レバレッジで・・・という注意も見られますが、それは維持率を高めにキープしてロスカットを防いでいるだけで、激増する含み損を減らしたわけでも、さらに1円以上下落するリスクを減らしたわけでもありません。
Lot数を減らしても、レンジ外れでの効率の悪さを克服できているわけではないのが厄介です。

結局トラリピは「レンジ外れから戻ってくることを期待した手法」にすぎないという事・・・・?
トラリピが「無限ナンピン」だと危険視されるのも正しい意見だと思います。そこで、
激増する評価損
含み損ありきの手法
レンジ端でのリピート回数不足
トラリピは無限ナンピン
これらすべてを解消し、トラリピ運用をできるだけ安定させることを試みます。

さすがに無理では?
逆転リピートとは
早速解説に移ります。上記のトラリピの欠点を全て逆転させます。
トラップ幅を1円以上にする
レンジを現在レートから±15円にした、トラリピ・ハーフ&ハーフとの比較で解説します。
先程の、1000通貨ずつの0.2円幅トラップ・0.2円利確ではレンジ端でのリピート回数が不足してしまう可能性がありました。そこで、1000通貨ずつ、1円幅・1円利確を基準にして考えたいと思います。
5年間のバックテスト結果では、1円幅・1円利確のリピート回数は195回。±15円のレンジ内を動いてくれれば、レンジ端でも5年で助かる可能性があります。
トラップ幅を5倍の広さにしてもリピート益は5分の1にはならず、結果的に利回りがいいからです。

あくまでもバックテスト結果だから気を付けて!
レンジ端でのリピート回数不足が解決しました。
激増する評価損
含み損ありきの手法
レンジ端でのリピート回数不足
トラリピは無限ナンピン
トラップ幅と通貨量に傾斜をつける
次に、残りの欠点を回避するため、トラップ幅と通貨量に傾斜をつけます。

分かりません。
図で説明するとこんな感じ。矢印の始点と終点が買い新規と売り決済です。
(最低100通貨から開始のため、1000通貨から始める場合は10倍の資金が必要です。)

1円幅・2円幅・3円幅・・・・で合計15円か!

評価損と証拠金で合計5万円以下だけど、深い部分のリピートが数回決まったときの利回りはかなりのもの!じっくり待ってからポジションを持つ、長期トラリピ向きだね!
5円幅など決まるか!と思うかもしれませんが、2019年のドル円の年間値幅は7円。レンジを外れるほどに含み損と必要リピート回数が急増するトラリピにおいて、ポジションをむやみに持たないのは大きな強みです。
これで1000通貨・1円幅のトラリピと比較して通貨保有量が約3分の1、最大評価損が約5分の1になりました。

必要以上にガードを固めてるな!意味があるのか?
買いトラリピに対し、売りのガードポジションを1つ持つ
下の図を見ましょう。2000通貨の売りポジションが追加されました。
買いトラップは-15円逆行すると5500通貨・約2万5千円の評価損を持ちます。
買いポジションの購入量に傾斜をつけ、購入タイミングを遅らせたことで5500通貨の買いポジションの評価損を2000通貨で完全カバー。
-15円までは常に含み益の状態を保つことができ、リピート益が純粋に利益になります。
これで、買いトラップの保持中は常に含み益という状態が出来上がります。含み益の状態でリピートによる決済を待つという桃源郷。

評価損を押さえて、トラリピの欠点「含み損前提の手法」を覆した!
トラリピをいつ辞めてもいいのも大きな強みだ!
激増する評価損
含み損ありきの手法
レンジ端でのリピート回数不足
トラリピは無限ナンピン
逆転リピートは含み損前提ではない!
含み損が想定しやすい
上記の方法で含み損が発生するのは、円安が進んだときです。
ただ、±0円より上に買いポジションは存在しないので、保有するのは2000通貨の売りポジションのみです。
つまり、1円円安が進むごとに評価損2000円。15円安で3万円。
含み損の計算が極めて分かりやすい。
1000通貨・1円幅の普通のトラリピでは1円安で1000円。15円安で10万5000円です。

分かりにくいし怖い!
損失が出る方向を逆転させることで、評価損の拡大のしかたが、逆行するごとにポジションを増やすナンピン方式ではなくなりました。ポジションが増えないから、ポジションを持つための証拠金による維持率の圧迫もない。

ガード売りポジションをなるべく小さくするためにトラップ幅と購入量に傾斜をつけていたんだね!
激増する評価損
含み損ありきの手法
レンジ端でのリピート回数不足
トラリピは無限ナンピン
逆転リピートは無限ナンピンじゃないから、レンジ端に行っても評価損が急増しない!
4つの欠点がすべて消えました。

本当に欠点をつぶすとは・・・・

売りのガードを持った瞬間に円安が進んだらどうするんだよ!
確かにその通りです。
2通貨以上をセットで運用する
リピート中の含み損はナシ。
逆行中は2000通貨の負担のみで計算しやすい。
でも、逆行中はリピートがない。これを解消するために、2通貨以上でのセット運用を考えます。
例えばドル円買いとユーロ円売り。

全面円高の時はユーロ円の買いトラリピ、円安の時にはドル円の売りトラリピに期待するんだね。

ドル安・ユーロ高だったらどうするんだよ!
追加トラップは別通貨にして、水平展開してははどうでしょう。
(通貨ペアは1例です。必ず6通貨ペアでセットするわけでもありません。)
予算に応じていくつかの通貨に分散すれば、大幅な全面円安・全面円高の局面でも半数の通貨がリピート圏内に入っています。トラリピ・ハーフ&ハーフは全面円高にも全面円安にも弱く、しかもレンジ端ほど被害が急拡大します。
上記の図の通りだと、運悪く全ての通貨が一度もリピートせずにトラップの無い方向に15円進んだ場合ですら
ドル円 2000通貨 -3万円
ユーロ円 2000通貨 -3万円
豪ドル円 2000通貨 -3万円
NZドル円 2000通貨 -3万円
フラン円 2000通貨 -3万円
ポンド円 2000通貨 -3万円
の分かりやすい損失で済みます。(スワップは考慮していません。)
コロナショックの円高時は、前後の月の最高値と最安値の差はおおよそ
ドル円 11円
ユーロ円 5円
豪ドル 15円
NZドル 11円
ポンド円 20円
フラン円 5円 でした。
上記の通貨ペアの組み合わせの場合は、コロナショック直前にトラリピを開始したと仮定して、かつリピートが1回もなかったと仮定しても資産の増減は30000円程度で終わっています。
上記の通り6通貨ペア27万円の予算で始めた場合、資産全体の11%程度の変動です。

投資資金を10倍にしても耐えられそうな変動額だ!(個人の感想)
まとめ
運用金額が大きくなるほど、いつでも離脱できるトラリピ手法や、含み損の計算のしやすさが重要になってきます。
幅広+傾斜ポジションで、損益分岐までのリピート回数を大幅減少
ガードポジションで途中で離脱しやすいトラリピに
含み損の増え方が無限ナンピン的でない
通貨分散により、複雑な条件を満たさないと最大評価損に到達しない
これらをすべて満たした「逆転リピート」でガードを固めてからリピート益をためていき、ジワジワとリピート益の再投資をしていけば、いわゆるコツコツドカンを避けられるのではないかと思っています。
問題点は
運用中のマイナススワップが気になる
100通貨から始められ、複数の通貨ペアを半自動運用できるため、マネパの連続約注文が最適だと思います。
1000通貨から始める場合はトラリピ本家で全自動運用にする。
もしくはauカブコム証券で代用有価証券FXを利用して証拠金を節約する方法があります。
運用中に出てくるマイナススワップを、株の配当でカバーすることができます。
私は上記記事の5倍の通貨量で、10000通貨のガードポジションをマネパの代用FXで、リピート部分はマネパnanoで連続予約注文を使って始めました。(通貨ペアは徐々に追加予定)

長期トラリピ派ほど、運用額を増やす前に「逆転リピート」を検討してもいいかもしれません。
参考になった!という方は下のいろいろなボタンを押していただけると励みになります!
応援クリックありがとうございます!励みになります!