こちらの記事は、auカブコム証券の「代用有価証券制度」を利用した、代用有価証券FX・手動トラリピの長期運用方針を提案する記事です。
トラリピが含み損前提の手法で、レンジを外れるほど評価損が激増してしまう欠点があることを理解している、トラリピ・手動トラリピ中級者~向けの内容となっております。

支払う税金のことも考えると「原則損切りしない」という運用方針にも疑問が出てくる。そこに気づいた人向けの記事!
運用する通貨ペアはドル円とユーロ円のみ。
含み損前提の手法であるトラリピ運用を見直し、含み益の中で手動トラリピ運用を行うことを目指します。
前回の「逆転リピート」の改良案になっておりますが、より単純で詳細な解説記事となっております。

・巨大な含み損を抱えながらの長期トラリピ運用は正しいのか
・運用中、確定利益にかかる税金に対する具体的対策
・長期運用後のトラリピの出口戦略
私はトラリピ・手動トラリピに魅力を感じていますが、トラリピは上記の3点に関する明確な対応策に欠けていると感じています。
今回は、この3点を明確にしたトラリピ運用を提案したいと思います。
auカブコム証券での運用を前提にしていますが、代用有価証券制度を使わない場合はトラリピ本家でも可能です。
個人の感想です
短期の利回りを追い、積極的にFXポジションを取る内容ではありませんのでご注意ください。
逆転リピートとは
前回の記事を簡単にまとめると、「逆転リピート」とは、買いトラリピに関して購入ロットとトラップ幅に傾斜をつけ、そこに小さな売りポジションを持つことで、含み益の状態でトラリピを稼働させるというものでした。
少しずつ解説します。
ユーロ売りホールドと傾斜買いトラリピ
まず、現在レート付近でユーロの売りポジション20000通貨を持ちます。
ユーロが下がれば含み益が出る状態にして、そこから下に向かって購入ロットに傾斜をつけた買いトラリピ。
ユーロが15円下がるなら全決済です。
買いポジションを建てるタイミングを遅らせ、トラップ幅も徐々に広げ、売りポジションのガードを付けることで、
利益の面では
① 買いトラリピ稼働中は常に含み益
② 55,000通貨の買いポジション評価損を20,000通貨の売りポジションでカバーできる
③ リセット時での損がないから、リセットするまでの間のリピート益が純粋な利益になる
④ レンジ下部のリピート益が大きいため、暴落からの急回復で大きな利益も狙える
という利点が生まれます。
損失の面では
(上の例の場合はユーロ売りガードポジションを持ったままユーロ高が進む場合)
損失の出る方向に新規ポジションがないため、
① 『1円逆行ごとに2万円の評価損』のように、評価損の計算が分かりやすい
② 『評価損の拡大』+『ポジションを持つための証拠金の拡大』のダブルショックがない
等の利点があり、50万円程度の予算があれば、円高方向では利益。円安方向には20円以上の円安に耐えられることになります。

トラリピは評価損を拡大させながらさらにポジションをもってしまう手法だから、一気に評価損が増えるよ!逆転リピートにはそれがない!
株・ETFの積み立てを行う予定の人なら、auカブコムの代用FXを使えば売る予定のない株を証拠金にして、現金なしでポジションを持つことができます。
ドル円買いホールド・傾斜売りトラリピとのペア運用
上記のユーロ売りホールド、買い傾斜トラリピの設定では、円安方向ではリピートが起こりません。
わずかなスワップを貰いながらのユーロが下がるのを待つ状態になってしまいます。
そこで、これも現在レート付近からでいいので、ドル円の買い20000通貨のホールドと、傾斜売りトラリピを持ちます。
これで、円高の時にはユーロ円の買いトラリピ、円安の時にはドル円の売りトラリピの稼働が期待できます。〇〇ショック時の急な全面安や全面高にも耐性が付きました。1円逆行で評価損2万円の簡単計算です。
ここまでの問題点
トラリピ経験者の方なら、ここで数々の疑問が浮かぶと思います。

ユーロ高・ドル安が同時に起こったらどうするんだよ!無意味w

変動幅の違う通貨で同じ通貨量と同じトラップ間隔www

5円幅(笑)
どれも正しい指摘ですが、代用FX・逆転リピートはそこが狙いなので、もう少し続けます。
それらの指摘に対するカウンターとして、税対策と再投資を叩きこむからです。

分かりにくくなってきた・・・!
3倍返し!逆転リピート再投資・節税法
逆転リピートの本当の目的はここからになります。
先ほど、逆転リピートは含み益の中でのトラリピを目指すと書きました。
少しずつ解説します。
税対策
解説を分かりやすくするために、上記の設定においてドル円・ユーロ円共に初期値から10円高になったと仮定します。

そんなにうまくいかねえだろと思う方も少し我慢していただきたい!
両通貨ともに10円高になると、ユーロ円のリピートは含み益状態で稼働中。
揉み合いによるリピートが利益になります。
ドル円のリピートはポジションなしで停止。
ドル円買いのガードポジションは約20万円の含み損を持ちます。
ここでトラリピ経験者は思い出しましょう。
トラリピはリピート益にのみ税金がかかるから、
年末に損切りする・しないの判断、
するとしたらどこまで損切りすればいいか迷う。
だから、ここで損切りします。
含み損を持つドル円買いのガードポジションを。
直後に、より有利な位置でドル円買いポジションを建て直します。
これで
① リピート用のポジションは崩さずに「トラリピは原則損切りナシ」を守りつつ、
② 「確定益にだけかかる税金」に対する税対策を行い、
③ 有利な位置での買い直しにより「含み益を持ちながらのトラリピ」にさらに近づき、
④ 損切りのほうが大きかったとしても確定申告で3年も繰り越せる。(詳細)
⑤ 当初の予定通りの価格に戻れば節税効果のみが残る

ぼんやりした「トラリピの税金問題」にロスカット基準と役割を与えた!
20000通貨のガードポジションは、無駄になる可能性のある支払い税に対するガードポジションでもあったという事です。
両通貨10円安でも同じようにガードを崩して直後に再INしましょう。長期運用でドル円買い・ユーロ円売りのお宝ポジションを掴めれば最高です。
次に、最悪ケース「ユーロ高とドル安が同時に進んだら」です。
再投資
上記の運用方針で不安なのはユーロ高・ドル安が同時に起こったときです。ユーロ・ドルどちらのリピートも止まってしまいます。
過去データでは、2008年7月、リーマンショックが全世界に波及する直前にアメリカからの資金流出が起こっていた際、ドル円は104.82円、ユーロ円は169.9円と、65円の大きな差が開いています。(その5か月後にはドル円は87円、ユーロ円は118円の31円差まで縮んでいます)

将来は分からないけど、時期によってはそのくらいの差が・・・!
逆転リピートの場合はドル円買いとユーロ円売りを20000通貨ずつ持つため、運悪くドル安とユーロ高が2通貨合わせて65円離れても評価損は130万円です。
55000通貨のポジションを20000通貨でガードしたことが、相場急変時には大きく活きています。55000通貨所持で65円逆行されると、評価損は300万円を超えるからです。
そんなに差が広がるかよ!・・・と思っているから、その部分の予算を売るつもりのない株に担当してもらうのです。

代用FXは期待大・・・
上のグラフはドル円(青)とユーロ円(オレンジ)の推移です。
結構大きく価格差が開いたり閉じたりしています。
大きく開いたところを狙って、閉じることを期待して追加投資をねじ込む方法を提案します。

ねじ込む・・・
例えば、初期値からユーロが10円高、ドルが10円安になってどちらのリピートも稼働しなくなった場合を考えます。
ドルとユーロの価格差が開いたら、基本はスワップを受け取りながら放置ですが(代用FXの場合は配当金も受け取りながら)、資金や積み立てた株・ETFに余裕があるなら、その開いた価格差をめがけて第2陣の追加トラップを仕掛けます。
ドル円が開始位置116円から10円下がってしまった場合。(資金に応じて5円下げで追加トラップ等、お好みで。)

第1陣の5円幅のトラップ部分に第2陣の1円幅・2円幅のトラップが重なっているね。
ユーロ円の方も同様の対処をしましょう。厳密に両通貨が10円ずつではなく、『ドル円とユーロ円が合わせて20円離れたら双方に第2陣の追加トラップ』などのルールを決めておきます。
さらに、税対策のガードポジションの立て直しも併用すれば、トラリピを含み益状態で運用できる範囲が広がっていきます。
これで、
① 資金の余力を見て、第2陣以降を投入するかどうか判断できる
(株・投信の積み立て+代用FXを行っているならいずれ投入できる)
② 価格差が縮まればその部分も「含み益を持ちながらのトラリピ運用」になる
③ トラップ幅の広い部分と狭い部分が重なり、1~5円幅の細かい値動きと大きな値動きを同時に狙える
追加投資の方針も明確になりました。

ユーロとドルの価格の開きがそもそもの狙いだから、さっきの指摘はほぼスルーされる!
さっきの指摘
繰り返しですが、トラップ幅やポジション量、第2陣の再投資タイミング等は各自の資金量によって決まるものなので、
逆転リピートによって
無限ナンピン的にポジションや含み損が増えない
トラップを崩さずに税対策ができる
含み益の中でのトラリピ運用を目指している
以上3点をくみ取っていただけるとありがたいです。
代用FXとの相性
逆転リピートは、代用有価証券FXとの相性も抜群です。
逆転リピートは含み損を積極的に吐き出し、含み益を溜め込んで「含み益の中でのトラリピ運用」を目指す方針。
それが完成すれば、代用FXの弱点である、「代用株の暴落で証拠金維持率が下がる問題」がほぼ解決します。
株の大暴落が起こったとしても、FXが含み益運用されている以上ロスカットはないからです。

なるほど・・・と言うには複雑なんですけど。
逆転リピートまとめ
ここまでの方針を簡単にまとめます。
あくまでも個人の感想・目標です。
特定の投資法を推奨するものではありません。
① auカブコム証券で株・ETFなどの積み立て計画(一括投資でも)を立てる
② 購入した株は代用してFX口座に入れておく
(配当・優待はそのままもらえる・証拠金は株価の70%で評価)

最初は株を50%、現金を50%入れておくのが分かりやすい!株が暴落しても現金の証拠金にはダメージがないし、年末のガードポジションの損出しの時に現金を使うから!
③ 100万円程度(あくまで目安)たまったところで、現在レート付近でドル円買い2万通貨・ユーロ円売り2万通貨を注文
④ 下記のようなリピート計画を立てる
(トラップ幅が広いので全て一度に発注する必要はありません。1円下の1000通貨のヤツだけでもいい)
※ 下記はユーロ売りの例。ドル円買いも同様に。
こんな感じ。
ここで、ドル円買い2万通貨・ユーロ円売り2万通貨を持った時の証拠金余力が70万円と仮定すると、
ドル円だけが急に35円下落したり、ユーロ円だけが急に35円上昇したり、ドルの下落とユーロの上昇が同時に起こり、2通貨合わせて35円の価格差が開いた時にロスカットが起こります。
⑤ ドル・ユーロのどちらもリピート範囲内にいればラッキー。
片方がリピート範囲内・片方がリピート無しの含み損状態の場合も平常運転。リピート益で株・ETFの購入を行い、代用しておく。
⑥ 年末などに含み損状態のガードポジションがあれば決済して即建て直す。
(リピート益に対する税金対策+有利なポジションの取り直し)
⑥ ドル・ユーロがどちらもリピート停止の含み損状態なら
スワップ・株の配当・追加の株の積み立てでのんびり耐えつつ、余力があるなら第2陣のセッティングを検討。徐々にトラップを密にしていく。第2陣以降も年末のガードポジションの損出しは行う。
以上です。
これで、
株・ETFの積み立てを優先しながら、
FXの含み損のコントロールをしつつリピート益が期待できて、
長期トラリピ運用において含み損を溜め込むことのない代用有価証券FXが完成します。

20年後、運用の終わりに気持ちよく全決済できる(予定)部分が、1番の強みだと思っています。
第2陣以降は様々な幅のリピートが絡み合うので、代用有価証券を使わないなら
① 100通貨から試してみたい方はマネーパートナーズFXnanoの連続予約注文
② 1000通貨からなら本家トラリピ運用
十分な資金があるなら
③ 10000通貨から、代用有価証券制度を使いつつマネーパートナーズのパートナーズFX(nanoではない方)を使えば連続予約注文が使えます。
通貨ペアとポジションの量は自分の予算に合わせて検討しましょう。

カブコムだとユーロ売りのプラススワップは1万通貨の通常レートじゃないと付かない!1000通貨のミニレート×10だとスワップ0円なので注意。
スワップは弱いですが、フリーETFや投資信託も代用可能な点から、最もバランスの取れているのがauカブコムFX です。
代用有価証券制度が超優秀!
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