2018年のVIXショックにより、NEXT NOTES S&P500 VIX インバースETN(2049)の強制償還が行われ、大きく資産を減らした体験談です。
私は株の信用取引口座は開いていません。普通に上場されてて、みんながいつも日本株を買っている手順と同じ手順で買える銘柄だったけど、1日で価格が96%下落し、ストップ安もなく、塩漬けすら許されず、損益通算もできなかったという、知識不足がここまで被害を拡大させるのか!というお話。
人の不幸は蜜の味だ!
恐怖指数(VIX指数)とは
「恐怖指数」という言葉は知ってますか。
恐怖指数とは、シカゴ・オプション取引所が、S&P500を対象とするオプション取引のボラティリティを元に算出、公表している指数で、ボラティリティ・インデックス(略称:VIX)と呼ばれているもの。
全然分かんないね!帰ろう。
S&P500は、米国企業の中で流動性がある大型株500銘柄の時価総額を指数化したもの。
ボラティリティーは、価格変動の度合いを示す言葉で、価格変動が激しいとリスクが高い。価格変動が小さいとリスクが低い商品とされます。
ビットコインは価格変動が激しい。
将来の投資家心理を示す数値として利用されていて、S&P500のVIX(ボラティリティーインデックス)が高くなるということは、株価がヤバいかな、と思っている投資家が多いと判断できる、ということ。
ゴニョゴニョした計算方法で、通常はVIX指数は10~20の間で推移することが多く、経済に大きな不安が生じた時には、この数値が大きく上昇するという傾向があります。
ゴニョゴニョ・・・
海外投資データバンクのホームページを見ると、アメリカの9.11同時多発テロ時でVIX指数は43.74、リーマンショック後の株価が下げ止まらない時には、瞬間的には史上最高値89.53を記録したことがあります。コロナショックは80超え、史上最低値は9.31です。
恐怖指数を対象とした取引
恐怖指数が上がると株価が下がる(かも)。恐怖指数が下がると株価は上がる(かも)。実際にVIX指数はS&P500と逆の動きをしている。つまり、持っている株のリスクヘッジに使えるのでは?と、VIX指数が取引されるようになります。
VIX指数の上下で損益が出るようにした金融商品です。
そして、日本でもVIXに連動したETF・ETNが登場します。
ETFは上場投資信託。ETNは上場投資証券(指標連動証券)。その違いは楽天証券のホームページが分かりやすかったです。
記事作成時点だと、VIXを指数を取り扱ったものには、
国際のETF VIX短期先物指数(1552)
NEXT NOTES 日経平均VI先物指数 ETN(2035)
などがあります。
米国株式の詰め合わせであるS&P500のETFは日本でも上場されているから、その下落に対するリスクヘッジとしてもつのがひとつの使い方です。
VIXショック!
2018年当時、
NEXT NOTES S&P500 VIX インバースETN(2049)
というETNがありました。現在は上場廃止です。
VIX指数は経済情勢の悪化で突発的に上がるものの、そのうち10~20の間に下がってくるため、指数が上がったときにVIXをインバース(VIXが下がると利益になる)で買い、VIX低下を待つ、という商品が現れます。
VIXが下がり続けるなら大きな利益を生みます。
経済が安定していると驚くほど調子よく価格が上がり、2017年には1口10000円だった(2049)は大きな下げを経験することもなく1年間で40000円にまで膨れあがります。
VIXの売りは儲かると、一部ではブームになっていたらしいですが、そんなことも知らずに私はNISA口座で(2049)を購入。売ったり買ったりしながら利益を積み重ね、40万円分のポジションを持っていました。
そこに、2018年2月5日、VIXショックが発生。
2月5日のニューヨーク株式市場で、ダウ平均は取引時間中に1597ドルと過去最大の下げ幅となり、2月2日(土)に17.31だった恐怖指数は、2月5日(月)に、37.32まで上昇します。
17.31→37.2は、上昇率115%。前日からの指数の変化率で決まる商品は、インバースなら資金が-115%。投資資金がすべて消えます。
崖かな?
起こるべくして起こったとか、アルゴリズムも絡んでフラッシュ・クラッシュを起こし予想以上の下げを・・とか、後から出てくる解説は置いておくとして、VIXを下目線で見ていた人たちは大損しました。世界中でVIX関連だけで約4300億円のお金が消えています。
1日で96%の評価損!2049に何が起こったか
いつか指数が戻るなら、ホールドでいいんじゃない?
ダメでした。先ほどの-116%のように、「信用取引でもないのに借金状態」にならないよう、(2049)には、「S&P500 VIX短期先物インバース日次指数が前日の価格に比して20%以下になったときは早期償還になる」という条項が付けられていました。
資産が急に8割以上無くなるようなら勝手にやめるよ!というルールですね。
(2049)に起こったのは、以下のような内容です。
まず、S&P500の価格が急落。恐怖指数が急騰します。しかし、急騰したのはアメリカの取引時間。日本に上場されている(2049)は、取引できません。
(2049)の価格は動きませんが、恐怖指数自体は動いているため、恐怖指数が早期償還の条件に抵触。
次の日、日本時間で2018年2月6日午前8時25分、前場開始前に早期償還が正式発表。前日の価格33266円が、1144円にほぼ固定。ストップ安なし。銘柄自体が無くなるのでホールド禁止。空売りはできない銘柄でした。
(2049)の110万口323億円の時価総額が、12.6億円に減少。NISA枠で持っていた私の40万円は、約1万6千円に。特定口座と損益通算はできないため、2018年度はNISA口座で-40万の損失を出してトータルでは赤字なのに、特定口座の利益に対して約8万円の税金が徴収されました。
当時の記事はこちらです。
発行元の野村證券は、「勧誘時の状況」が野村證券自身が定めた原則に反すると判断されるなら、一定の過失を認めて、ある程度の補償に応じるとしました。対面形式での購入以外では関係なさそうですね。
私は早期償還の可能性はどこかの個人ブログで知っていましたが、どう怖いのかは理解していませんでした。
まとめ
銘柄に関する無知から、大きく損失を出してしまったお話でした。
当時の私の投資資金は200万円ほど。(2049)の1銘柄で、1日で資産の20%程度が失われたことになります。
早期償還決定後、当然上場は廃止ですが、しばらくの間、1144円証券口座内で売却可能な期間が設けられました。いい機会なので、1口だけ売却可能期間を無視して持っていたところ、
こんな感じの最終決算報告書と、1144円の払い出し証(郵便局などでお金を受け取れる)が届きました。
いい勉強になりました。
「なんか儲かってるから続ける」という、出口も定めていない投資判断は怖いですね。
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